胃と食生活のはなし
「胃がもたれる」、「胃が重い」、「胃が痛い」、「お腹が張った感じがする」、「悪心、嘔気」などの胃の症状。このような何らかの胃の症状に日頃から悩まされている人もいるのではないでしょうか。今回は日本人の生活スタイルの変化に伴い増えている胃の症状と食事のお話です。
胃の症状というのは、色々なことが複雑に絡み合って症状が出現しているのが一般的です。特に何か病気があるわけではないのに胃の症状が続く人を機能性胃腸症といいます。そんな人が注意した方がよい食生活についてご紹介します。
1.食物への過敏
まず症状に対する食事の影響ですが、このような症状に悩まされている人では、健康な人と比べ食べ物に対する過敏症があることがわかっています。最も症状が出やすいのは高脂肪の食品ですが、コーヒー、チョコレート、ナッツ、スパイス、マヨネーズ、たまねぎ、胡椒、柑橘類、炭酸飲料、魚などでも過敏な反応が高率に見られることが報告されています。また、こういった特定の食べ物に対する過敏症というのは女性に多いといわれています。症状がよく出現する人は自分が食べ物に対する過敏症がないかを見直すとよいでしょう。普段あまり気にしていなかったけど、よく考えればこんなものを食べたときに症状が出やすいというのがあるかもしれません。
2.胃の運動・感覚
次に胃や腸の運動、痛みなどの感覚は、毎日の食事内容の影響を受けることがわかっています。例えば4日間絶食をして何も食べないと糖分を胃から排出する力が低下してしまうことがわかっています。また、2週間にわたり脂肪分の多い食事を食べ続けると胃から物がでていった時の空腹感が減ってしまうこともわかっています。このような不規則な偏った食事は胃の運動や感覚の異常を引き起こし胃の症状を出現させる原因になるので注意が必要です。
3.過去の影響
胃の症状の出現を繰り返していると以前の好ましくない体験により、情報とは実際は異なる成分のものを食べても症状が出現することが分かっています。つまり高脂肪のラーメンを食べると症状が出る人に脂肪の少ないラーメンを高脂肪のラーメンと間違った情報を教え食べてもらうと症状が出現してしまうといった具合です。このように胃の症状には経験的な影響も大きいことがわかっています。
最近では舌だけでなく胃でも味を感じていることが徐々に分かってきており、今後は現在のような食品や成分だけでなく味と症状や病気との関係も分かってくるかもしれません。今回は食事と症状の関係を紹介しました。症状を治す薬も色々とありますので、症状の続く方は早めにかかりつけ医の先生に相談していただき、一度は精密検査を受けることをおすすめします。