気になる病気3 過敏性腸症候群
2010年7月7日
おなかが敏感で下痢や便秘を繰り返す
以前から腸が弱く下痢が続く、下痢と便秘を繰り返す。重い人では下痢をするのが怖くなり、外出できない、長距離の電車に乗れなくなるなど生活全般にも影響を及ぼすこともしばしばです。そうなる前に専門の医療機関を受診しましょう。
診断の世界基準(ROMA III )
まず、腸の内部に腫瘍や炎症などの疾患がない事を確認し、その上で以下の2つの項目を満たせば過敏性超症候群と診断しています。
1 過去3ヶ月に3日以上腹痛や腹部の不快感があった
2 排便により症状が軽減する
3 うさぎの糞のように黒くコロコロするなど、便の見た目が変化する
どうしてこのような症状がでるのでしょうか
一般的にはストレスに起因する病気といわれています。ストレスが原因となり、なんらかの理由で胃液の分泌や腸のぜん動運動などを起こすための脳からの指令が阻害されてしまうために、胃腸の調整がうまく行かなくなるというのが発症のメカニズムといわれています。
最近では過去に炎症性腸疾患などにかかった経験がある人が腸粘膜に微細な炎症が残り、通常は問題とならないストレスでも過敏性超症候群の症状を引き起こしてしまうことなども報告されています。
男性は「下痢型」 女性は「便秘型」が多い
過敏性腸症候群は、腸の調子が悪くなり下痢や便秘などの症状が出る病気ですが、下痢が主体の「下痢型」、便秘が主体の「便秘型」、下痢と便秘が交互に現れる「交代型」があります。
男性には「便秘型」が女性には「便秘型」が多いといわれています。
症状があっても受診しない人がほとんど
ストレスに起因するため治りにくく、全人口の10〜15%が患者という報告もあります。このなかで医療機関を受診したことのある人は2〜3割といわれています。
病状が重くなり、学校や職場に行けなくなってから受診される方が多く、症状の悪化した過敏性腸症候群の患者は、慢性腎不全の患者などよりも生活レベルの質が低いとの研究結果もあり、軽症での治療が望まれます。
診断・治療
診断基準にもある通り大腸カメラ検査などで炎症や腫瘍がないことを確認することが第一です。
検査で問題なければ、生活習慣を見直し、適度な運動や規則正しい食生活を行い、生活リズムの改善を心がけます。
内服治療としては整腸剤や下剤などで便通を調整を行います。ストレスの影響が強いときは、不安を取る薬なども使用します。最近では、消化管運動に大きく関わるセロトニンと結合し、その動きを阻害し便通異常の改善や大腸の痛みの伝達を抑え、腹痛や内蔵の知覚過敏を改善する効果のある下痢型過敏性腸症候群の治療薬も発売になり効果的な治療ができるようになってきています。